小学校の英語教育
「中学との連携に不安、80%」
2011年4月から小学5、6年生を対象に英語が必修科目となる。前倒しで2009年度から導入する小学校も多い。
旺文社が全国500校を対象に実施したアンケート調査の結果が2009.2.8(日)朝日新聞に掲載された。53%の教育現場で英語導入に不安があり、教材や指導方法については79%の学校で不安がある。80%の学校が『進学先の中学との情報交換体制が全く整っていないことが問題』と答えている。
「中学との連携に不安が80%」?
「おやっ!」と思った。小学校からの英語導入は中学英語の準備教育か?と。

小学生の英語嫌い現象
英語教育を先行実施した小学校ではどんどん英語嫌いが増えている。
東京都の中学教諭の話によると、導入前にはいなかった「英語は好きじゃない」という子が年々増えている。(2009.2.23朝日新聞夕刊、小学英語に先生異論)
20年前の英語嫌い現象
1989年春、日本テレビの調査によると、小学6年生の82%が『英語の勉強を楽しみにしている。』と答えているにもかかわらず、中学1年生になり3ヶ月目には英語が好きと答える生徒はたったの9%と激減、56%が嫌いと答えている。
これは「10年間習ってもしゃべれない英語」が問題視されなかった時代の話である。
ところが、「英語がしゃべれない」ことが社会問題になっている現在に至っても、学校で英語教育が始まると同時に英語嫌いが増えるのは、20年前と変わらない現象である。しかも、今は小学生から英語嫌いが増えている。
1995年ころ、『10年間も英語を勉強してもしゃべれない』現実社会のニーズと余りにもかけ離れた英語公教育が社会問題になった。
2002年から外国人の英語教師を招き、小学校でも英語教育がスタートしたが、その目的は「話せる英語」と「外国人に対する積極性の育成」の教育であった。

中学英語の先取りか?
多くの小学校では『英語教育導入の目的は中学英語の準備教育』と受け止めているのではないだろうか。
だとすれば、英語指導が始まると同時に英語きらいが増えることも納得できる。
20年前の英語公教育の根本的体質は今尚変わっていないということになる。
小学校の教育現場では指導法に苦心惨憺する様子であるが、実は苦心するところの『的』が外れているのかも知れない。
苦心する域が従来の英語公教育の枠の外に出ていないのである。
「60年間の学校英語教育からは『話せる英語』は身に付かない」事実は誰もが体験済みにである。
それを、今度は小学生から繰り返すのだろうか?
学校英語(英語学)は話せる英語(英語術)とは、全く違う指導方法が必要なのだが。
チェンジだべ!
現在の英語教育法が変化しない限り、「話せる英語」は身に付かないのでは。
このままだと、
「12年間も習ったのに、英語が話せない」
ということになり兼ねない。
その理由をダニエル・カール氏が2009年2月1日の朝日新聞で述べている。
「オラも日本語を長年勉強している人間ですけれど、学問として日本語を勉強したら、こんなにスラスラしゃべれねぇとおもいます」
カール氏は『話せる英語は学問ではない』
と言っている。つまり、『学校英語』と『話せる英語』は違うと言っているのである。
この二つを混同していたのが戦後60年間の英語公教育ではなかったのだろうか?
同氏の指摘する「大学入試こそチェンジだべ」が実現し、中学、高校の英語教育の指導法がチェンジしない限り、今後も『英語がしゃべれない日本人』は世界はおろか、アジアでも置いてけぼりを食うかもしれない。

AET(外国人英語指導助手)
AETとして勤務する外国人教師の立場から見た学校の英語教育の現場について、
マノービック氏が1994年に、ベイリー氏が2001年に次のように感想を述べている。
AETと一緒に小学校英語教育にたずさわる先生の参考になれば幸いである。
ダニエル・マノービック
1994年 山梨県英語教師
1、英語の授業は受験のための読み書き文法が
中心で、会話のためでない。
2、日本の生徒は受動的である。
3、クラスの生徒数が多すぎて指導は困難。
4、テープレコーダーでも出来る仕事に
やり甲斐は感じられない。
5、会話軽視、文法重視の英語教育に
戸惑っている。
6、教師がテキストを読む時、生徒は自分の
テキストを見る癖があるが、これでは
外国人教師は必要ない。
テープレコーダーで十分である。
7、実際に使われないような表現がテキストの
所々に見られる。
8、AETにテキストを読ませるだけの日本人教師
がいるが、もっと生徒と自由な会話レッスン
をしたい。
9、会話の練習は受験に訳に立たないと考えて
いる生徒がいる。
10、外国人教師の役割が不明瞭である。
11、日本の英語教育の目的が理解できない。
ロバート・ベイリー
2001年 岩手県英語教師
1、土地、環境、給料、住宅、地域住民に何一つ
不満はなかったが、
自分の実力が発揮出来なかったため、
契約更新を断った。
『I was under used.』
2、日本人教師のみ頑張って、Nativeとして
やることがなかった。
3、Nativeと生徒が直接接することのできる
指導スタイルが必要。
4、英語でNativeとコミュニケーションが
ほとんど出来ない英語の先生が4割ほどいた。
5、英語が話せなくて生徒の前で恥をかく先生を
見るのが辛かった。
6、根本的な日本の英語教育システムが
変わらない限り小学校から始めても、
「私、16年間mも習ったのに話せません」
ということになり兼ねない。
9、英語クラスは少し慣れればNative一人ででも
充分指導できる。
10、自分の仕事の内容とその目的が
よく理解できない。
11、外国人に親しませる目的で外国人を採用す
るのであれば、一対一で接する機会を
作ったら良い。
12、小学生の指導はマイクロフォンを使って
大勢を指導した。
13、日本人教師のリードの仕方でレッスンの
内容はまるで違った。
Nativeが生かされるも 殺されるも、日本人
教師次第と思った。
14、CDデッキの代わりをやらされたとの思いが
度々あった。
15、生徒にやる気を起させる「刺激剤」を
与えることが大切。

